2009年01月08日

薪ストーブはクリーンか?

同じものでも清潔かどうかということは、時と場合によって異なる。雑巾1枚とっても、床を拭くのには十分清潔であるものが机を拭くのにはちょっと、というようなことがあり得る。八百屋に出荷する野菜の大部分は農家が十分清潔に洗っているのだけれど、台所でそれを洗わずに使う人はあまりいないだろう。店頭での清潔さと口に入れるときの清潔さは、レベルが違うわけである。

薪ストーブがクリーンかどうかというのも、同じようなことが言える。そもそもが、田舎の古民家で使うのであれば、クリーンかどうかなどほとんど問題にならないレベルなのだ。これを住宅地の気密性住宅で使おうと思うから、クリーンかどうかが問題になる。

クリーンさはいくつかの面で気になるが、特に重要なのは2点である。室内空気と室外への排気だ。

最初、私は室内の空気が汚れないのかどうか、気になっていた。この場合の「汚れ」とは、一般的な意味での汚れではない。簡単に言えば酸欠である。薪を燃やすのだから、当然酸素を消費する。酸素が消費された分だけ二酸化炭素が発生するわけだから、室内の空気が酸欠になると考えるのは不思議ではない。実際、石油ストーブを使っていたときは、隙間風だらけの長屋アパートでさえ、ときに息苦しさを感じた。1時間か2時間おきに部屋の空気を入れ替えなければならなかったわけだ。同じことが薪ストーブでも起こるのではないだろうか。特に、気密性の高いエアパスだ。締め切ったところで火を燃やせば、その結果は火を見るよりも明らか。

しかし、これは意外にもそうではなかった。煙突の効用が、想像以上に大きかったのである。

素人考えでは、煙突は煙出しだ。何とかと煙は高いところへ昇るから、煙突がなければならないことは直観的に納得できる。しかし、それ以上の働きがあるとは思わなかった。ところが、煙突には単なる煙出し以上の働きがあるのである。それは、空気の流れを作り出すことだった。

ストーブの炉内で温まった空気は、上昇する。だから、煙突の中には一定して上昇気流が生じる。決して逆向きには流れない。となると、炉内の気圧が下がることになるから、炉内には室内から空気が流れ込んでくる。この空気の流れは煙突が正常に働いている限り決して逆流することはない。つまり、ストーブで発生した二酸化炭素が室内に放出されることはない。

もちろん、炉内の火は室内の酸素を使って燃える。だから室内の酸素は消費されるのだが、酸素だけがなくなるのではなく、酸素は空気の流れとして炉内に補給される。だから、室内の空気はどんどん減っていく。ここで、家の中、どこか一ヶ所だけでも換気用の小さな空気口が開いていれば、減った分だけの空気がそこから流れ込んでくる。こうして部屋の空気は常に新鮮に保たれる。

つまり、薪ストーブをつけていることは、常時換気の換気扇をつけているのと同じことなのである。だから、ストーブをつけていないときよりは、むしろストーブをつけているときの方が空気は汚れない。実際、薪ストーブをつけているときに窓を開けると、カーテンが内側に引き込まれるのがわかる。空気は常に室内に流れ込もうとするのである。

さて、もう一つの問題は、その煙突から出て行く排気の方である。何せ住宅地、煙がモクモクと出るようなら使うわけにはいかないと思っていた。そしてこれは、使い始めのその日に杞憂であることがわかった。

ただ、完全にクリーンかというと、どうもそうでもないということが最近になってわかってきた。この場合のクリーンというのは、室内でいうクリーンとは違う。ものを燃やしている以上、二酸化炭素が出るのは当然。もちろんこの温暖化のご時世、二酸化炭素の排出自体が問題でないというわけでもないのだが、それはそれでまた別の話になるので、回を改める方がいいだろう。ここでいうのは、有機物を燃やしたときに必然的に発生する二酸化炭素と水蒸気以外の話である。つまり、煤、別な言い方では煤塵や浮遊粒子状物質といった分類に入るものだ。そして、これらはわずかずつではあるが、やっぱり出ている。

一応、近所の人にはしょっちゅう「煙が気になるようなことはないですか?」「ご迷惑をかけてませんか?」と確認はしている。そして、ほとんどの場合、「え? いま火がついているんですか?」というようなことで、幸いにも気にする人はほとんどいない。実際、目に見えた影響はまったく与えていないようで、そういう点では薪ストーブが住宅地のど真ん中でも使用に耐えることはほぼ実証されたといっていいと思う。

けれど、どうやら煤は煙突から出ている。

まず、明瞭な証拠は、ベランダに黒片が落ちていたのを拾ったことだ。これは、明らかに新聞紙の燃えカスだった。普段は新聞紙は燃やさないのだが、その日、たまたま手に入った新聞紙を焚き付けに使った。どうやらそれがうまく燃えなかった分が煙突から吹き出したらしい。そういう意味でも、できるだけ紙は燃やさない方がいいと改めて思った。

まあ、そこまで大きな煤が出たのはそのときだけだろう。だが、細かな煤は、目に見えないけれどどうやら出ている。そう思うのは、年末の大掃除でベランダを拭いたときだった。

ここに引っ越すまでにすんでいた高層アパートは、幹線道路に面していた。道路からは急傾斜の緑地帯をはさんでいたので道路ぎわというわけではないが、やはり影響はある。その前に住んでいた長屋アパートも、やはり国道から1ブロックしか離れていなかった。だから、ベランダや屋根を拭くと、簡単に雑巾は真っ黒になった。

今度の家は幹線道路からは遠い。電車の線路は比較的近いが、線路が通っているのは谷底なのでほとんど影響はない。だからベランダが煤で汚れるようなことはないだろうと思っていた。ところが引っ越して3ヶ月で、やはりこれまで同様に雑巾が黒くなってしまった。

これは、日本という国が汚れているためなのだろうか。道路沿いでなくとも、ベランダに煤はついていくものなのだろうか。そうだとしたら薪ストーブの影響ではないのだが、私にはどうも、やっぱり薪ストーブが犯人のような気がする。目に見えない煤が出て、それがベランダに付着してくるのではないだろうか。

もちろんこれは、数ヶ月単位で汚れる程度のものだから、洗濯物が汚れるようなレベルではない。煙突から数メートルのベランダでその程度だから、もちろん近所に迷惑がかかるレベルではない。ではあっても、やっぱり少しはダーティーなのかもしれない。

結論として、薪ストーブは、室内の空気に関しては非常にクリーン。室外への排気に関しては、許容範囲内のクリーンさではあるけれど、完全にクリーンとは言い難いのではないか、というのが現在の私の考えである。
posted by Househusband at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 薪ストーブのある生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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